沿岸部をざわつかせた!?底上げマラソンについて振り返る
底上げ矢部です。みなさんいかがお過ごしですか?我が家には雪が降ったり降らなかったり、とにかく寒い!そんな季節になりました。薪ストーブを欲しいと思ってはや5年・・・!そろそろ動き出したい。そんなことを考えている今日この頃です。
今年を振り返る雰囲気がプンプンの今日この頃ですが、今年を締めくるるビックイベントが控えています。
そうです、毎年恒例、底上げマラソンが控えているのです!箱根駅伝じゃ無いですよ!底上げマラソンです。
気が付けばこの企画を開始してから8年の月日が経過しました。過去、なぜか多くの素人ランナーが誕生し巻き込まれた本企画。そんな底上げマラソンについて過去を振り返りながら思いを馳せたいと思います・・・!
底上げマラソンの変遷
そもそも底上げマラソンとは底上げ(近年は矢部のみ笑)と愉快な仲間たちが岩手県宮古市を出発し、宮城県南三陸町まで170キロの道のりを襷リレーをしながら二日間で走り抜ける企画です。メンバーは、インターンで底上げに関わってくれた人、底上げのプログラムに参加してくれた人、日頃から底上げを応援してくれている人、など底上げの関係者です。毎年、年末に開催され、スタート時は気温マイナスになる年もあるほど過酷。
寒い時期に沿岸部を走る企画・・・?正気か?と思われるかもしません。笑
ことの発端は2016年に遡ります。マイクロソフトのUpgradeYourWorldという企画がありました。「多くのハッシュタグを獲得した上位10団体は、マイクロソフトの現地パートナーに選出される」という企画でした。勢いに任せ企画に乗った底上げは、普通にハッシュタグをしてもらうだけではつまらないと考え、ハッシュタグ一つにつき1キロ走ると宣言しました。
結果123のハッシュタグが集まり、123キロ走ることとなったのです・・・!そして無事マイクロソフトの現地パートナーにも選出!
実はこのマイクロソフトの企画でいただいた原資を活用しSOKOAGE CAMPがスタートしたのです。ありがとうございました!
その後、どこの区間を走る事が面白いかを話し合った結果、関係の深い宮古市と、当時事業を展開していた南三陸までどうせなら行っちゃおうよ。という勢いでスタートとゴールが確定したのでした。発想が若い。
そして底上げマラソン第一回がスタート。ハイテンションの底上げは仲間と共に170キロを無事に走破。
終わった後の達成感と、参加者との一体感は何物にも変え難いものでした。
走る楽しみを得た僕たちは、その後も回をかさねていきます。底上げを通して出会う人が走ることを始めたり、走ってる人が底上げに関わったり。走る行為で多くのご縁をいただきました。底上げマラソンによって日常までも変化し、底上げが掲げる「できる感覚と動く楽しみ」を体現している様でした。僕もその一人で、マラソンからは多くのことを得ました。結果、今でも毎月走ってますし。
しかーし!そんな中でのコロナ非常事態宣言。中止を余儀なくされ、2年間は開催を見送りました。
そして、2022年。2年越しの開催。2年間のブランクは人々の意識を変容させるには十分な時間で、開催はしたもののどこか物足りなさが残りました。ただ実施した感じ。もちろん集まって走る楽しさは感じたものの、熱量が足りないというか、なんというか・・・。
その影響か翌年は中止。去年までを振り返ると以下の流れになります。
震災後の沿岸部を定点観測
8年間も定期的に沿岸部を走っていると気づきも多いです。
この8年で沿岸部の景色は大きく変化しました。2016年当初は震災の復興の真っ只中で、道路や防波堤などの公共事業が行われていました。
道路も砂利道だったり、とにかく走りづらかったことを覚えています。時には車道に出る必要があり、危ない思いも何度かしました。しかし近年は工事も終わり、道が整備されました。8年間って景色を大きく変えるには十分な時間なんだなーと改めて痛感しました!
過度な意味付けからの解放
底上げマラソンを「年末の寒い時期に開催して誰得?」とか、「意味わかんない!」とかよく言われてきました。
僕だって、なんでやってんだろ?と思う瞬間がないわけではない(笑)。年の瀬に、スリップしそうな車を走らせて目的地に向かいます。参加者の多くは東北在住ではありません。なかには有給をとって飛行機でくる猛者までいます。そこまでしてやる意味はあるのでしょうか?
しかし考えて欲しいと思うのです。僕たちは意味や目的が明確であればあるほどよしとされる”資本主義的社会”に片足を入れて暮らしています。仕事では常に数字を求められ、私生活でもコスパやタイパを気にして効率を重視しがちな世界に生きています。そんな過度な意味付けや目的ありきの生き方に慣れきってしまっているのでは無いでしょうか。はい。もちろん僕もその一人です。
そんな中、極寒の土地で仲間と共に訳もわからず2日間走り続ける底上げマラソン。
目的や意味がなければ動きずらい現代社会の中で底上げマラソンをやる意義は大きい。僕はそう思っています。
一年に一回くらい「意味がわからない」に思いっきり身を委ねてみる。
そのくらいが良いのかもと思います。
今年もいくぜ年末マラソン
僕が底上げマラソンていいなぁと思うポイントはいくつもあれど、2023年に開催しなかったということもその一つです。
過去2回、コロナにより開催できませんでした。昨年はやろうと思えばできたけどやらなかった。何を言いたいかというと、この企画は、本当にやりたい人がやっているということだと思います。なんとなく開催することもできたけど、意思ある中止。やるときもやらないときもしっかりとした意思があります。そのことはとても重要な気がしていて、実は底上げっぽいなぁと思ったりしています。
しかし、昨年開催しなかったことで関係者に火がついた。
「生きがいを失った」「年を越した感じがしない」そんな声が上がりました(笑)
開催しなかったという事実に、後悔という感情がやってきたのです。そうなれば話は早い。
底上げマラソンの復活です。
参加者グループが立ち上がり、日本の至る所で練習が始まり、当日のスケジュールを抑え、家族に承諾を得る(笑)
2024年12月27日。早朝宮古の極寒のスタートラインに奇人たちは集合するのだ。
今年の年末マラソンは、どんな二日間になるのでしょうか。生きていると本当にいろんなことがあって、それでも年末に集合できることに感謝しながら二日間を満喫したいと思います。満喫・・・あ、終了後のお風呂とご飯が今から楽しみです!
矢部寛明
NPO法人底上げ理事長 東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科教員
子どもが3人となり、夜8時に就寝し6時に起床という健康的で幸せな日々を過ごしています。