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【開催中レポート】楢葉で始まった3ヶ月に及ぶCAMPの現在地。

こんにちは、底上げスタッフの横山です。
底上げでは2016年より、合宿での対話を中心としたワークを通じて自己内省と他者理解を深め、自分らしい未来を描くプログラムとしてSOKOAGE CAMPを主に大学生向けに開催してきました。2023年に半年間のお休みをいただき、そのコンセプトを「私と他者と世界が持続的に良い状態であるために」として、大学生や若手社会人向けにこの夏に2回プログラムを実施しました。
この記事では、夏に初めて3ヶ月のプログラムとして実施した楢葉町でのSOKOAGE CAMP(通称 楢葉CAMP)について、企画運営を担うゆっけとりょりょをゲストに、今の楢葉CAMPの状況や進め方などを聞きました。

これからCAMPに参加してみたいな〜と思ってくれている方、合宿には参加した方で3ヶ月の期間にどんなことをやっているのか気になっていた方にぜひ読んでいただければと思います。

3ヶ月間どんなことやっているの?

横山(以下ひめ):
夏にSOKOAGE CAMP(以下CAMP)として二つプログラムを実施しました。宮城県川崎町では、2泊3日の合宿。楢葉町では「私と出会い私達を旅する旅CAMP」ということで、2泊3日の合宿から始まる3ヶ月というCAMPを開催しました。CAMPとしては過去最長!の長さでの開催です。現在開催期間中ですが、どういう流れで3ヶ月を過ごすのか紹介お願いします。

斉藤(以下ゆっけ):
はい。9月21日から3日間合宿をやって、今はオンラインで月に1回顔を合わせてる最中です。最後12月は、もう1回対面で楢葉に集まる予定です。
CAMP昨年の冬は合宿型の開催をせず、プログラムの成長を促す時間を取ってました。その中で、私と向き合うから、他者や社会との関係性に目を移すような時間もとれたらいいねという話が上がってきました。これまで、合宿が終わった後の日常にどうCAMPを持ち帰って活かせるのか?それとも活かせないのか?という議論をしてきていたことが背景にあります。参加者から、「CAMPの時間は非日常で、そこから日常にうつすのは難しい」という話を聞いたりもしていました。日常とCAMPを行き来できるような余白のあるプログラムを作れませんかねというとことで、まず合宿をやって、そこから持ち帰ったものを日常で活かすなり、感じるなりして、月に1回オンラインで顔をを合わせていったらどうなるんだろうねということで楢葉CAMPをまずは実験的に始めてみた。という感じですかね。

ひめ:
やってみて今、ちょうど半分くらいの時期ですよね。合宿1回のオンラインを1回。今どんな感じですか?

日野(以下りょりょ):
そうですね、私自身も日常と非日常というのが引っかかっていて、CAMPに参加して「合宿は非日常だった」と参加者が言うのもそうだなと感じていました。結構不安だったんです。オンラインでCAMPと同じ感覚を共有できるのかなみたいに思っていて。けど、集まったメンバーと、オンラインだけど顔を合わせることで、ちゃんとその人たちがいる場所がCAMP空間になっている感覚があって、意外でした。オンラインでもいけるんだって。

対面とオンラインの相乗効果

ゆっけ:
そうだね意外といけたね。前提として、合宿がまず相変わらず良くて笑 今回の参加者、スタッフとインターンには学生もいて、いわゆるキャリアブレーク中の人もいて、働いてる人もいてっていう、結構多様なメンバーで合宿ができたんだけど、それもよかったと思います。自分があたっている課題に対して同じように話せる人もいるし、違う目線で人の話を聞きながら自分の状況を振り返って、そういえばこんなことがあったなって感じることもできて、合宿が場としてとても豊かだったと思います。

ひめ:
合宿とオンラインの間は1ヶ月ぐらい期間がありました。オンラインが始まったときに、CAMPに戻ってくる感じはスタッフも参加者もオンラインで顔を合わせたらスイッチが入るような感じだったのかな?

ゆっけ:
それぞれどう感じていたかは分からないけど、当日は僕は進行していて、最初にオンラインで顔が揃ったときは、少しぎこちなさというか…ちょっとカクカクしてるなみたいな感覚があったかな。なので、予定をしていたものからやることを変えてみたんですよ。「15分間の時間を取るので、身の回りを心地良くしてください。」と伝えて、オンラインは繋いだままで各自が個人作業を始める時間を最初に取ってみた。そうしたら割と体感的に「自分が心地いい状態はこうやって作ってたな」と思い出した。1時間半という限られた時間の15分をそういうのに使っちゃうのもCAMPっぽいのかも?この画面の中の限られた情報からやり取りする以前に、自分の身の回りのことで、少し世界が広がったりとか、体を動かしてちょっと馴染んだりだとか、何かそういうことに寄与できたと思う。

りょりょ:
確かに何か行動の自由さが出ました。

ゆっけ:
オンラインでは行動が不自由になるんだよね。ずっと画面の中にいないといけないもんね。1人話してたら、他の人は基本黙っているしね。

ひめ:
合宿だと、どういう居方でもいいよって伝えているよね。ワークは別に横になっててもいいし、どこ見ててもいいし、ワークに参加しない自由もある。それがCAMPだけど、オンラインだと、画面の前に座って顔を見せてる状態だし、確かに言われてみると行動が制約されていたのかも。

ゆっけ;
でもオンラインで自由にしてていいよってなると、音と画面が切れて、場にホールドされなくなることがあるよね。ここには集中しなくていいやって、洗い物しながらとかラジオ感覚に聞くとか、なんなら聞かないとか。合宿の場にいると参加しているという最低限のホールドはされてるのかな。それで、その中に自由がある。そこにオンラインと対面の違いがあるかも。今回の「15分革命」は参加をしているというホールドをしながら、自由。もしかしたらそれがよかったのかもしれないね。

ひめ:
「15分革命」っていうの?どうしてそんな名前に?

りょりょ:
名付け親がいます。インターンが「この15分めっちゃよかった!私の中で革命が起こりました。」と話をしてくれて、この最初の15分は「15分革命」って名前になりました。”革命”ってあんまりCAMPでは使わない言葉かもしれないですね笑

ゆっけ:
「15分革命」で自分の居心地の良さや感覚にフォーカスして、その後は振り返り。合宿中にこの3ヶ月間どう自分がありたいか?という問いについて、それぞれが手元に書いておきました。そこから次の1ヶ月をどう過ごすかという問いを出しました。3人ぐらいで分かれて喋ったかな。りょりょどんな話してたの?

りょりょ:
とにかく「どうだった?」と。この1ヶ月の気持ちの変化と、日常生活どうだった?という話と、自分で書いた問いをどうやって使ってたの?とかそういう話をずっとしていました。時間があっという間でしたね。

ひめ:
なるほど、そこからまた1ヶ月経って、11月もオンラインがありますね。

ゆっけ:
11月は参加できる日程が割れたので、2つの日程を用意して、りょりょ回とゆっけ回をやります。

ひめ:
その辺のフレキシブルさみたいなのはオンラインの強みですね。

どんな人が参加して、どんな変化を期待している?

ひめ:
参加者はどういう方々なんだろう?それぞれの参加目的があるのだと思うけど、どうありたいか?という問いについてはどんなコメントがあがりましたか?

ゆっけ:
過去にCAMPに参加してくれてた方々もおりまして、「自分のためにじっくり考える時間を取りたい」人もいれば、「忙しすぎて余白がないので、それを求めてきました」という人もいるかな。キャリアブレーク中でちょっと心身落ち着いてきたので、どうしようかなってことを考えたいみたいなことも。これまでのCAMPと持ち寄ったテーマはそこまで変わらない気もする。3ヶ月だからといって特別な何か期待を持ってくる人がいたかと言われるとそうでもないかな。

ひめ:
CAMPは余白なのかな。ちょっとブレイクタイムを取って、どう軌道修正したいのか?した方がいいのか。するならどっちの方向なのか。自分自身に問い直すというか。

ゆっけ:
そうね、軌道修正の文脈で言うと月1回のオンラインの時間は役に立っているかもしれない。特に活動している人、仕事なり学業なり、忙しくしていると思考と行動が元に戻ってしまう。月に1回1時間半でも「そうそうこの感覚」というものを自分の中で取り戻せるのは、割といいのかもしれない。あと、うまくいってたら誰かに報告したかったりもするよね。必ずしもネガティブなことだけじゃなくて、こんなにいいことあったぜっていう話ができるというのも、嬉しさを倍増させるポイントになっているのかも。
以前も事後研修でもう1回顔を会わせようという機会を作ってたこともあったけど、もう1回顔を合わせる機会がプログラムに組み込まれていることは関係性の醸成として結構いいよね。合宿の後のみんなの行く先が見えるっていうのは僕としては嬉しいよね。純粋に。
今回の合宿中ジャーナルに、思ったこと・考えたことを書き出して、夜回収してスタッフがコメントバックをしただけど、9月の合宿が終わった後に10月があるってことがわかってると、ジャーナル今こんなこと書いてますとかグループで共有してくれることもあって。次があるからその間にもコミュニケーションが生まれているということもあるのかなと思う。そういうのも良かったね。

ひめ:
12月の最後の対面がいまから楽しみだね。
参加者もそうだけどスタッフ側もコミットできる機会や期間があるって贅沢だね。

りょりょ:
そうなんですよ。

ゆっけ:
うん。めちゃくちゃいいね。

SOKOAGE CAMP今後の展開について

ひめ:
これで、楢葉でCAMPをやったのは2回目。3回目も予定があるんですよね。

りょりょ:
そうですね。3月1日〜2日にテーマを決めて、福島をもう少し知ろうという感じで、震災のことも含め、今の福島県の双葉郡辺りを1泊2日で見て回って、感じたことをシェアするようなツアーができたらいいなと、今計画中です。

ゆっけ:
CAMPをリデザインしたことによって、こういうこともできるなって思って。
土台は私を真ん中に置きつつ、視点を社会とか他者とかに動かしてみて、その間も見つめましょうねっていう話もできるようになってくる。そうすると、企画の立て方も視座が広がるよね。昨年、気仙沼で教育について学ぶツアーをキャンパー2人と企画をしたんだけどそれも今回のツアーのきっかけになっています。私のことを考えつつ、世界にある事柄をインプットして自分の人生に生かす様なことができたらいいなと思っています。

ひめ:
コンセプトを決めたことで、よりCAMPらしいことができる様になった感じもありますね。

ゆっけ:
そうだね。嬉しいなと思ったのは、去年気仙沼の教育ツアーのときに、色々現地のお話しを聞いたんだけど、その後に現地の法人へインターンしに行った参加者がいたんだよね。自分のことだけに矢印を向けていたら起こりにくかったような、行動として社会に橋がかかる瞬間みたいなものに一部関われたような感覚があって、そういう点でも嬉しいかもね。

ひめ:
ツアーもだし、12月に楢葉CAMPが終わったらまたどうだったか話を聞かせてください。
お二人ともありがとうございました!

ゆっけ・りょりょ:
ありがとうございました!

横山沙織

認定NPO法人底上げ スタッフ

裏側にいる人。福島の浜の南の方に住んでいます。