SOKOAGE CAMPの夜明け
SOKOAGE CAMPの生みの親であり、NPO法人底上げの代表である矢部。
5年前、2016年にキャンプをやろうと思ったきっかけを語った。
「キャンプ前夜」
キャンプ開催のきっかけになったのは、震災後の気仙沼で出会ったボランティアの大学生たち。
昼間は学習支援などを行い、夜は矢部や斉藤など、後に底上げのスタッフとなる大人とこれからの人生について考える。
彼らは建前上は「ボランティアに来た大学生。」
でも本当の姿は「人生をどう生きていくか考えている時期の大学生。」
そうした彼らと対話をしていく中で、大学生たちは変容していく。
日々の生活で生じる様々なラベリングが無く、丸裸のような状態でやってきた気仙沼の地。そこは「当たり前」が失われた地であるということもあって自然と自分を問い直す。問いが生まれ、自分の足場を再確認するような場所だった。
そこで想いが確信に変わった。
大学生には考える時間が必要だと。
大学生の止まり木
そんな存在になるような、
一歩立ち止まり、自らについて考える環境を提供することが必要だと矢部らは考えたのだった。
「キャンプを通じて幸せ組をつくる。」
矢部は高校を卒業後、大学へ進学することは選ばなかった。
自分で決めたことではあったが、大学へ行かないことへの劣等感を感じることもあった。
大学へ通う同級生を横目に見ながら勝ち組という言葉に違和感を覚えた。
センスが無いと思っていた。
「勝ち組」は勝負して勝ち続けないと勝ち組ではいられない。
常に負け組に降格する不安を持ちながら生きていくことになる。
だったら自分は「幸せ組」を作っていきたい。
幸せ、豊かさといった、曖昧なものを多くの人に感じていてほしい。
それは主観のもの、自分のものさしで測っていい。
キャンプを通じて生きるように働き、働くようにして生きる。
「生きること」について同じ目線で考えることで「幸せ組」を作りたい、と矢部は語る。
0期を開催して以降、2021年には5周年を迎えた。まだ足りない、もっとやれる。
必要とする人に届くように、「幸せ組」の仲間が増えるように、SOKOAGE CAMPの扉を開ける。