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2011年創業、東北を拠点に若者支援・
まちづくり事業・組織づくりをする認定NPO法人

ならはこどものあそびば2024年度活動報告会レポート

こんにちは、今回のレポートを担当する坂詰 芙宇(さかつめ ふう)です。
2025年3月16日(日)楢葉町地域活動拠点施設「まざらっせ」にて、ならはこどものあそびば2024年度活動報告会を行いました。
当日は26人の参加者の皆さんが集まり、大学生インターン2人の司会進行でスタートしました。

NPO法人底上げについて

まずは、NPO法人底上げ理事長の矢部さんから底上げがなぜ福島の楢葉で活動するのかという話がありました。
底上げは2011年より震災後の宮城・気仙沼にて活動をスタートさせました。活動の想いの底にはいつでも東北への感謝があるそう。矢部さんが学生時代にママチャリで東北を巡っていた頃、東北の人にあたたかく迎えてもらった経験が今でも活動のエネルギーになっているのだと感じました。

そして、2022年より底上げに参画した、日野さん(通称りょりょ)。
「ならはこどものあそびば」の活動スタートはりょりょさんが大学生だった頃に遡ります。りょりょさんは卒業研究のフィールドを、ここ楢葉町に決めました。当時の活動は今のベースになっています。
そんな当時を振り返るりょりょさんは「何もできなかった卒業研究」という言葉を残しています。その言葉には、りょりょさんの飽き足らない向上心と楢葉町で活動する想いの強さを感じました。
卒業後も楢葉で活動を続けたいというりょりょさんの想いと底上げの東北への感謝の想いが重なり、ならはこどものあそびばはこの楢葉町で活動を始め、今年度で丸3年が経ちました。

ならはこどものあそびばの活動報告

続いて、りょりょさんから「ならはこどものあそびば(以下あそびば)」の活動について報告がありました。
スタートのきっかけは楢葉町で想いを持って活動している人の姿を見て、ここで育つ子どもたちも将来自分の想いや感じたことを発言できる大人になってほしいというところから「あそびば」の活動は始まったそうです。
「あそびば」では「こころが動く経験」と、想像力と創造力を養うことを大切にしています。

そんな「あそびば」での今年度を、「まねする」「ためす」「つくる」「くりかえす」「かかわる」 という5つのキーワードで振り返ります。

私が1番印象に残ったのは、「ためす」のエピソードの中での「墨汁ぶちまけ作戦」です。
ある日、墨汁をまきはじめたこどもたち。普段は、こどもたちに自由に遊んでほしいという思いから、ルールを作ったり遊び方を制限することはしないようにしています。そんなりょりょさんも驚いた遊び方だったそう。
でも全ての奇想天外に思える行動にも「こどもたちなりの理由があった」とりょりょさんは語ります。墨汁をぶちまけた理由をこどもに聞いてみると、前日に、べっこうあめを作ろうとザラメをこぼしてしまい、アリが集まってしまうという出来事がありました。
そこから、「アリは黒いんだから墨汁で見えなくすればいいんじゃない?」という発想から起こった行動でした。
私はこのエピソードを聞いて、またも驚き、ユーモラスな作戦だと感動しました。そういった発想ができ、それをやってみたいと言える、やってみることができる環境というのは「あそびば」だからこそなんだと感じました。

またこのエピソードの中で、普段は片付けを強要はしないのだけど…今回はさすがに手伝ってと言った話がありました。普段片付けを強要しない理由は、最後の1秒まで遊んでいてほしいからというりょりょさんの「あそびば」で過ごす子どもたちに対する願いも伝わるエピソードでした。

最後にはこれからの「あそびば」について。
今後はもっと地域に飛び出す「あそびば」や、コンセプトを持ったアートプログラムの開催をやっていきたいという話がありました。これからの未来へ向けて柔軟に変化し続ける「あそびば」の活動を楽しみにしています。

なっつんの卒業研究発表

続いては、特別企画「なっつんの卒業研究発表」です。
大学四年生の原田さん(通称なっつん)。なっつんは大学四年生の卒業研究のフィールドに「あそびば」を選び、インターン生として活動しました。その一年間の研究活動を振り返り発表しました。
卒業研究では、「地域住民とこどもが心地よくつながる居場所の研究」として、47個のプチアクションを行ってきたそうです。
たとえば、「あそびば」のご近所さんに「あそびば」の活動や動きを知ってほしいと外に本棚を設置し、中に入らなくても見える仕掛けや、お家を訪問してあそびば通信という活動レポートをを配ったり、なっつんのアクションはどれも地域住民とこどもや「あそびば」の距離感を縮めることを大切にしてきたアクションに感じました。
そんななっつんのアクションの成果を象徴するのが、差し入れの数!!何と前年度と比べると5倍(?)の差し入れをいただいたそう。さらに周りの皆さんから愛される「あそびば」になっていることが感じられます。

楢葉での生活を振り返り、協力してくれた皆さんへ感謝を伝えるシーンではなっつんから涙がポロポロ。
会場からは「ああー泣かないで〜」というようなざわめきが起こりました。なっつんを見守る参加者のみなさんのまなざしはとてもあたたかく、「よく頑張ったねなっつん」という空気が流れるほっこりとした時間でした。

NPO法人みやっこベースの活動紹介

後半は、岩手県宮古市で活動しているNPO法人みやっこベースの理事長 早川 輝さんから宮古での子どもと地域に関わる活動について講演がありました。
みやっこベースは、宮古市で生まれ育つ子ども・若者の人生が豊かなものであることを目的に、様々な事業を行っています。大きくは、地域教育事業、キャリア支援・企業支援事業、コミュニティ形成・まちづくり事業だそうです。

みやっこベースの約10年の活動を紹介していただきました。対象は幼少期から社会人になるまでと広がり続けたそうです。その時々で求められる活動を作り続け、変化していくというみやっこベースの柔軟なあり方に驚きました。
10年の時が経つと、活動の中心にいた子どもたちが大学進学でまちを離れ、社会人になってUターンしてくることも多いそうで、最初は本当に宮古に戻ってくるのかな?という不安や疑問もあったそうですが、大きく成長した彼らと一緒にまた宮古で活動するのは感慨深いものがあるとおっしゃっていました。
早川さんの考えである「決めるのは子どもたち」というメッセージを感じとることができ、想いを持って活動する大人の姿を見た子どもたちは自然とその背中を追っているのかもしれないと感じました。10年以上活動を続けると見えてくる姿に、楢葉の10年後を想像したくなりました。

早川さんのお話の中で、地域づくりを行うために若者の活躍できる場所宮古を目指してきたけれど、今ではそれが逆転し、若者の未来の支援の先に地域づくりがあるという考え方の変化にも発見がありました。目の前にいる子どもたち一人一人のための未来に求められていることをやっていける団体でありたいという早川さんの想いが現在のみやっこベースに通じているのだと感じました。
早川さん、貴重な講演をありがとうございました。

最後には、近くの参加者同士での感想シェアが行われました。時間いっぱいまで語り合うチームが多く見られ、皆さんの気づきやこれからチャレンジしたいことを語らう時間になっていたようです。楢葉町にも想いを持って活動するかっこいい大人がたくさん集まっているんだなと感じました。

改めてご来場いただきました皆さん、ありがとうございました。

私も参加できてとても刺激をもらえる時間でした。また、楢葉に遊びに来たいと思います!

坂詰 芙宇(さかつめ ふう)

底上げ特別リポーター

2001年生まれ。新潟県新潟市出身。
学生時代、東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科でまちづくりについて学ぶ。主に、高校の探究活動について取り組み、地域とつながる学校とは?というテーマを持ち、総合的な探究の時間という授業の伴走支援活動を行う。
卒業後は、全く別世界の地元金融機関に就職。現在2年目。平日は、お金の流れを学びながら、日々の窓口業務に奮闘中。
休日は、コミュニティデザインを学び続けたいと思い、高校生のマイプロジェクト活動支援スタッフになってみたり、プロジェクトをゆるーく行う研究員になってみたり、空き家の改装を手伝ってみたり、今度は田植えにもチャレンジ予定!
フィールドを絞らず、コミュニティを広げ続けようと動き回っている。