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2011年創業、東北を拠点に若者支援・
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地域で暮らす・働く大人と一緒に振り返る、あそびばの変遷【あそびばの仲間集め】

子どもたちの居場所となり、自分とあいての気持ちを大切に表現できる場をつくりたいと楢葉町で始まった「ならはこどものあそびば(以下、あそびば)」。2024年10月に開所から2年を迎え、活動の幅をさらに広げていくため、あそびばを運営する日野涼音さんは仲間集めの準備を進めています。

新たな仲間には、あそびばの様子を知って参加してもらいたいと、これまでにあそびばの日々の様子をお届けしてきました。

ならはこどものあそびばー夏休みの一日ー【あそびばの仲間集め】
放課後のならはこどものあそびばを訪ねて【あそびばの仲間集め】
大人は子どもたちの「やってみたい」を見守る、大きな子ども。新たな仲間にも伝えたい、気持ちのままに過ごす居場所の在り方【あそびばの仲間集め】

今回は「楢葉町におけるあそびばとは?」をテーマにお届け。あそびばが開所した当時の様子や参加する子どもたちの姿、これまでの活動について地域の人と一緒に振り返ります。楢葉町で生まれ育ち、あそびばを開所する前から日野さんの活動をみてきたという木村英一さん、横須賀直生(ルビ:なお)さん、そして日野さんの3人で、活動が始まったあの頃を思いだしながら語らいました。

木村英一さん
楢葉町出身、いわき市在住。楢葉町のまちづくり会社勤務。地域イベントづくりや町内で活動する人のサポートなど、ソフト面のまちづくりに熱を注ぐ。日野さんが学生の頃から活動を見守ってきた。3児の父。趣味はキャンプ。

横須賀直生さん
楢葉町出身、在住。高校卒業後に上京し、2019年にUターン。2020年におかしなお菓子屋さん「Liebe」を開店。第3回ならは百年祭の実行委員長、学校運営協議会委員、PTA役員など多岐にわたる地域活動に参加。3児の母。最近ボードゲームにはまっている。

始まりは突然に。名前も決めずにスタートしたあそびば

日野さん:
今日はよろしくお願いいたします。自分の活動について話したり聞いたりするので、私はとても緊張しています。2年前にあそびばが開所したわけですけど、当時の様子はお二人からはどんなふうに見えてましたか?

木村さん:
突如始まった感じがあったよね。何かやりたいことをずっと考えているのは見ていて分かっていたんだけど『こんな構想があって』と話してくれた時には、あそびばの活動をいつから始めるか等のスケジュールも決まってて。いいじゃん、頑張りな!と思っていました。

でも、それからずいぶん動きがない時期があり、なにか一歩目がでない理由とかあるのかなあと様子を見てたんだよね。日野さんが何かしら動いて、考えて、悩んでいる様子は、私だけでなく周りの人たちも見ていたから、もうちょっと頼るとか、うまくやらんかいっ!と思ってました(笑)

日野さん:
今でもそうなんですが、頼り方が分からなかったんですよね。名前も決まってないのに、スケジュール通りの2022年10月1日に突如開所するっていう。名前は結局その時つけた「あそびば」(=遊び場)が定着しました。

横須賀さんはどうですか?

横須賀さん:
木村さんが言うように、涼音ちゃんが自分の思いをなんとか形にしようと奮闘しているのを私は見ていました。コツコツやっているなあというのが伝わっていたよ。

その様子を見ながら、私だったらこうするなとか、いろいろ口出しちゃいそうになることも実はあったんだけどさ。涼音ちゃん自身が楢葉町に来てから積み重ねてきた関係性の中で頑張っているのを見て、私が先回りする必要はないなと思って。最近のあそびばの様子を見ていると、あの時に口を出さなくて良かったと思うよ!

子どもたちが遊ぶ場所の選択肢になる

日野さん:
横須賀さんのお子さんは何回か来てくれていますよね。

横須賀さん:
子どもたちが行きたいって言った時にタイミングが合えば連れて行くようにしていて、これまでに3回くらい行かせてもらったよね。あそびばから帰ってくるとおしゃべりが止まらなくて、すごく良い場所になっていることを子どもを通して感じているよ。

開所のお知らせのチラシを見せた時のわが子のリアクションは『ふーん』って感じだったの。でも、同級生が行っているのを見て聞いて、行きたいって言い出したんだよ。「〇〇ちゃんが行っていて、すっごく楽しいらしい!」みたいな口コミが、子ども同士で水の波紋のように広がってるのを感じてる。それはあそびばが温かい雰囲気で、賑やかで、子どもたちにとって良い場所になってるからこそだと思うなぁ。

日野さん:
嬉しい言葉をいただき泣いちゃいそうです……
木村さんから見て、あそびばは楢葉町の子どもたちにとってどんな存在に感じられますか?

木村さん:
遊ぶ場所の一つになっていることは確かですよね。子どもは一人ひとりに、心地よい過ごし方があるはず。何をするか決まっていなくて自由に過ごしたいとか、テーマに沿って活動する方がいいとか、過ごし方を選べる場所がたくさんあると、子どもたちは幸せなんじゃないかなあと思います。

私が子どもの頃はスマホなんてなかったけど「ここに行けば誰かに会える」みたいな場所が町のあちこちにあって、子どもだけのコミュニティがありました。あそびばは、そういう居場所づくりをしているのだと思う。1つ、2つと増えてくれればさらに選択肢は増えるのかなあと。

30年前の楢葉町の子どもたちの姿

日野さん:
最近は、放課後に待ち合わせをしてあそびばに来てくれる子どもたちもいて嬉しく思っています。お二人は子ども時代を楢葉町で過ごされていたと思うのですが、当時はどんなところで集まって遊んでいたんですか?

木村さん:
中学生時代、今はあそびばの拠点になっている「管野商店」によく集まっていたよ。通学路にあったから、朝は特に用がなくてもそこで15分くらい話して、つい遅刻しちゃうことも(笑)帰りもなぜか再び管野商店に寄って駄菓子を買いながら話して、それぞれ家に帰るのが日課みたいだったなぁ。遊ぶ場所ではなかったけど、自然とみんなが集まるたまり場だった。

時が経って管野商店のシャッターが降りて、私たちのたまり場だった場所が使われなくなっていくんだろうなって思ってたので、あそびばとして新しい使い方がされて、地域に活かされているのを見ると嬉しいです。あそびばがある通りには楢葉町のプレイヤーが多く住んでるから、誰か出てこないかなって期待しながら、あそびばの前を通ることを今は楽しんでるよ。

横須賀さん:
私は小学生の頃の話をするんだけど、木村さんと同じように通学路が一番の遊び場だったと思った。通学路はみんな一緒だったから待ち合わせしなくても集まるし、小学生って誰かが立ち止まったら絶対立ち止まるし、まっすぐ家には帰らないのよ。

落ち葉をバッグいっぱいに詰め込んだり、腰の高さまでしかない手すりの橋の間から顔を出して、川の鮎をじーっと眺めたりね。春は竹、秋はキノコ、冬はツララ…..見つけたら取りたいなあって思いながら見ていたり、時には本当に取りに行ったり。遊ぶものが何もなくても遊び場になっていたんだよね。歩きながら季節を楽しめるのも嬉しかった。

木村さん:
町を歩けば四季を感じられるとか、都会ではなかなかできない遊びができる地域だと思うから、あそびばではそういうことをもっとやっていってほしいな。

あそびばのイベントが地元の思い出になっていく

横須賀さん:
定期的に開催されるあそびば主催のイベントも、親としては連れて行きやすい。特に、夏休みとか長期休みは子どもたちは暇を持て余していて(笑)。この夏に楢葉町地域活動拠点施設「まざらっせ」でやってくれたそうめんのイベントが、長女にとってはすごい印象に残ってるみたいで、秋になった今も話をしてくれるんだよね。

イベントではいつもの場所じゃなくて、町の拠点を使うこともあるじゃない。そうすると、その拠点自体が子どもたちの思い出の1つにもなると思うんだよ。あそびばで過ごした時間を、10年後とか大人になった時にその時間を友達とかと共有できたら、すごく良いと思わない?

2024年夏に開催したそうめんパーティー

子どもたちが成長していって、ふとした瞬間に逃げ場がない時に、家でもない学校でもない、 あそびばに行ってみるかって、いつでも門を開けてくれる場があるのが、心のよりどころにもなるかもしれないね。

木村さん:
私が仕事の都合でお願いをして、まざらっせに来て一緒に活動したことも思い出しました。地元事業者が屋台出店に向けてベトナム料理の試食会をしたいという話が急に出た時に、日野さんに連絡してみたらあそびばを開くという日で。子どもたちを連れてきてくれたんですよね。

日野さん:
まざらっせは、あそびばから近いのでみんなで歩いて行きましたね。

木村さん:
その時にフットワーク軽く町に出かけられるのは、あそびばのすごい長所だなと感じました。町を歩きながら、行き交う地域の人と挨拶を交わし関わりを持っていく。、昔は普通にあったそういう機会が、今は少なくなっていると思うのでとても良い経験をしているなと思います。

「これからも見守っています」

日野さん:
横須賀さん、木村さん、改めて今日はありがとうございました!

あそびばの開所前から、お二人は活動や私自身を気にかけ理解してもらってるという感覚があります。うまく頼れず相談できなかったとしても、無条件に見守ってくださったお二人のような地域の人たちのおかげで、活動を自分のペースで進められているので本当に感謝しかありません。

だからこそ、伝えていかなきゃいけないことは伝えたい、動かなきゃいけないところは動きたいと思いました。より一層頑張ります!

横須賀さん:
楢葉であそびばの活動をやってくれてありがとうの気持ちでいっぱいです。私はどんな涼音ちゃんも大好きだし、見守っていくって決めているよ。早く行きたいときは早くいけばいいし、ゆっくりでもいい。安心して楢葉で活動してください♡

木村さん:
やっちゃえ、日野さん!

(座談会を終えて)
風が心地よい秋晴れの中で開かれた座談会は、まるで親戚の家で近況を語り合っているような温かな雰囲気に包まれていました。日野さんが楢葉町にやってきた当初から彼女を見守り続けてきたお二人。奮闘していることを知りながらも先回りの手助けをしなかったことは、日野さんの意志で活動を切り拓いていってねというメッセージのようです。今日の話が力となり、「あそびば」がこれからどう広がっていくのか楽しみです。

ならはこどもあそびばを共に創るメンバーを募集します!【楢葉町地域おこし協力隊 募集要項】

みなさんこんにちは!日野涼音(りょりょ)です。今回、福島県楢葉町での活動「ならはこどものあそびば」にて、一緒に場を創っていく仲間を募集することとなりました。 ならはこどものあそびば(以下、あそびば)は、2022年10月に [… …

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